デザイン・シンキングと出会った時の印象とは? | 石黒講師インタビュー vol.1

JMA洋上研修「J-EXCEED第1期」アメリカ西海岸9日間デザイン・シンキングコースの石黒講師にインタビューさせていただきました。
(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)

インタビュアー 一般社団法人日本能率協会 安部

デザイン・シンキングと出会った時の印象とは?

安部
本日は石黒猛さんにお越しいただきました。
よろしくお願いします。
まず、石黒さんのお仕事の内容からお聞かせください。

石黒
具体的に挙げていくと非常に幅広くなってしまいますが、世の中にないものを認知できる形で表現することです。

業界からデザインの仕事をいただく場合や、企業から依頼を受けることもあります。
またマーケティングからのアプローチもあれば、ビジネスを離れてアート作品の依頼も受けています。アート作品制作で今までにない美しいものを考えたり、舞台芸術として新しい人とものの関係を作り出したりすることもしています。

安部
デザインという言葉ではありますが、ハード、ソフトに限らないわけですね。

石黒
そうです。
みなさんもご存じだと思いますが、もの単体で成立するというのはなかなか難しくなってきています。その背後にある物語だけが必要になることもあるのです。デザインイコール形とはもう言えなくなってきています。
より広い意味でありとあらゆるものをデザイン的に解決して新しい価値を生み出すような感じでしょうか

安部
今回はデザイン・シンキングの研修でご支援いただきますが、デザイン・シンキングそのものとかかわってきた経緯をご紹介いただけますか。

石黒
私は日本の学校を卒業し、英国でデザインを勉強した後、IDEO社の前身であるIDTwo社の代表をして、当時IDEOの共同代表をされていたビル・モグリッジさんにお会いして、入社試験を経て同社に入社させていただきました。デザイン・シンキングはまだ今までの形ではなかったころの話だと思います。IDEOに入社して初めてデザイン・シンキングと出会い、最初のうちはものを作ることに注視した古い形のデザイン・シンキングに触れていました。

当時不可解でなかなかイメージ化するのが難しかったのですが、IDEOのデザイン・シンキングはより体系化され、一連のプロセスを踏むと何か新しい気づきを見いだせるような魔法的な手法でした。それに出会いながらも、最初のうちは自分としてはそのまま受け入れることに多少抵抗感がありました。古い形のデザイン手法と相容れない部分が多かったからです。

それまでは自分の経験値と情報の中から考えたものが正しい答えだと思っていました。
いろいろな人を見て情報を集め、クリエイター側もさまざまな人と情報交換しながら最終的な答えを出すというデザイン思考のプロセスを体系的に実践したことはそれまで経験がありませんでした。抵抗感を持ちながらも、始めてみると素晴らしい気づきがたくさん生まれました。

デザイン作業は仕事をするにしたがっていくうちに消耗し、自分の中のピースがどんどん体内から流れ出て個の内部が貧しくなるような感じになるのですが、ところがこの手法を踏むとそれがどんどん増え、自分の財産になっていくように感じるのです。
吸収しながら出していくわけで、半永久的にクリエイティブな作業を継続でき、クリエイターにとって、素晴らしい効能があると、私は信じています。
それを痛感した結果、今はその手法を踏まないと、自分の独りよがりの無責任なものしか作れないのではないかと感じています。
そこで、さらに検証しながら、デザイン・シンキングを次のレベルに乗せようと日々研究しているところです。

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