本質が西海岸にしかないのはなぜ? | 石黒講師インタビュー vol.4

JMA洋上研修「J-EXCEED第1期」アメリカ西海岸9日間デザイン・シンキングコースの石黒講師にインタビューさせていただきました。
(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)

インタビュアー 一般社団法人日本能率協会 安部

本質が西海岸にしかないのはなぜ?

安部
次回はデザイン・シンキングでお困りの方やうまくいっていない人の参加を想定しています。
どういう人に来てほしいと思っていますか。

石黒
デザイン・シンキングは独学で教科書と向き合いながら学習するのが難しい学問です。
身振り手振りが重要になるなど頭だけでなく体の動きが伴い、極端に考えると踊りに近い身体的要素を持ちます。アメリカという国もつ多元的な文化が重なり合いながら、奇跡的に集約された学問といっていいでしょう。
学問としてのデザイン・シンキングはさまざまなところで学べると思いますが、文化としてのデザイン・シンキングを学ぶにはこのJMAの船上研修ほどいい環境はないと思います。
文化とデザイン・シンキング、文化と学問の両方を合致させることが、人に伝えたり活性化させたりするときに必要になります。両方が合致しなければ、強さも伴いません。
ですから、日々のデザイン・シンキングで悩みを持っている方に是非受講してほしいと思います。

安部
石黒さんはいろいろな企業からデザイン・シンキングに関する悩みを聞いていると伺いました。
どういった悩みを持っているのか、回答できる範囲で教えてください。

石黒
様々ありますが、具体的に視覚化できず、問題点をつかめないと感じることが多いようです。
かなり大きい問題や不確定要素である未来想定も含むことですから、複雑に入り組んで手を出せない状況に陥っているのかもしれません。

安部
受講生からデザイン・シンキングはものづくり以外の組織づくりやサービスなどソフト面でも活用できるという意見を聞きました。
石黒さんのところへもハード面ではなく、ソフト面の要望はあるのでしょうか。

石黒
ありますよ。
デザイン・シンキングをもの寄りと考えることが多いですが、それは考え方の違いです。
例えばオフィスのOSがウインドウズだったとしましょう。それを少しだけマック寄りにするように、物事をより理解しやすい形にするのが、デザイン・シンキングです。
その手法はいわば万能で、いろいろな場面で使えますから、さまざまな要望や依頼が届いています。

安部
先ほどデザイン・シンキングを学ぶのに西海岸の船上がいいという話が出ました。
それでは逆に日本企業でデザイン・シンキングを学ぶのに、文化として足りない部分がありますか。
石黒さんは日本企業の中に入り込んで仕事をすることもおありと思いますが、お感じになっていることをお教えください。

石黒
日本で導入する場合、形にしやすいところから入る傾向があります。
例えば、グーグルやアップルのオフィスのインテリアデザインをまねることが良くあります。しかしながら、先ほども申し上げましたが、デザイン・シンキングは文化なのです。
さまざまな歴史的な背景、その国が置かれた状況、人と人の関係などを理解しないと、真の意味での文化は理解できないと思います。
文化を断片的に受け入れようとしても、そこには本質がないので、つながりません。本件、「デザイン思考」の本質はカリフォルニアの文化の中にしかないように感じています。
ここからいろいろと派生し、結果的に素敵なインテリアなんかが生まれていますが、やはり本質はアメリカ西海岸なのです。スマートフォンを初め、シリコンバレーから生まれたイノベーションも、アメリカ西海岸文化が産みの親です。デザイン思考と西海岸的な物の考え方、文化が新しい物事を考える上で適切と判断され、いろいろなものに応用されています。
その文化を的確に理解するか、理解できなくても的確に捉えるかし、形に起こすのであれば、日本でも恐らく展開できそうです。

私は和風のデザイン・シンキングがあってしかるべきだと思っています。
今回のような研修で空気感も含め、全身で感じ取ることができれば、日本にもデザイン・シンキングが根づくきっかけになるのではないでしょうか。

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